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2012年2月13日月曜日

SPARC Japan セミナー in 富山 「学術情報流通の未来を切り開く」 が開催されました。


2012年2月10日(金)、第4回 SPARC Japan セミナー2011 「学術情報流通の未来を切り開く―電子ジャーナルの危機とオープンアクセス―」 (主催:SPARC Japan (国立情報学研究所) 共催:富山大学附属図書館)が、富山大学黒田記念講堂会議室において開催されました。当日の富山は、16年ぶりに積雪80cmを記録する悪天候であったにも関わらず、約50名の参加者がありました。日本動物学会事務局長である永井裕子氏の司会進行の下、電子ジャーナルの価格高騰など、大きな困難をかかえている学術情報流通の現状と、その打開策としてのオープンアクセス(インターネットを介して学術論文を誰もが無料で閲覧可能な状態にすること)の推進などの問題をめぐって、充実した講演と活発な討論が行われました。

まず最初の登壇者である国立情報学研究所(以下「NII」)の森いづみ専門員からは、「NIIによる学術情報流通基盤の構築について : オープンアクセス関連の事業・サービスを中心に」の演題で、機関リポジトリの構築支援SPARC JapanSCOAP3JUSTICEなど、NIIの関わるさまざまな取り組みが紹介されました。

次に登壇した独立行政法人物質・材料研究機構(以下「NIMS」)の谷藤幹子科学情報室長からは、「ビッグディールからの脱却の試み : 窮余末路の図書館の明日は」の演題で、予算の削減と価格の高騰が進む中、ビッグディール(電子ジャーナルの大規模一括契約)から脱却するべく、自身が取り組んできた電子ジャーナル購読最適化のための実践が具体的に報告されました。また、NIMSの機関リポジトリeSciDocを活用した多様な研究支援システム(元素戦略ライブラリー材料科学ライブラリーなど)の紹介もありました。

最後に、同じくNIMSの轟眞市主幹研究員は、 「研究者のアウトリーチ活動としてのセルフアーカイビング」の演題で、研究成果物のセルフアーカイビング(一般にアクセスできるWebサイトへデジタル文書を寄託すること)によってもたらされた様々な波及効果について、自身の経験に基づき具体的に報告し、研究者自身による研究成果のオープンな発信を推奨しました。さらに、セルフアーカイビングを誰でもが続けられるようにするための環境づくりの重要性を指摘しました。

講演後のディスカッションにおいては、セミナーに参加した複数の研究者や若手の図書館職員等からさまざまな発言があり、活発な議論が展開されました。現在の学術情報流通が容易には解決できない大きな構造的な問題を抱えていることが改めて明らかにされ、研究者、出版社、図書館員その他すべての関係者がこの問題をどうしたいのかを主体的に考え、取り組んでいくことの必要性を認識させられるセミナーとなりました。