富山大学附属図書館研修会「蔵書こそは図書館の切り札」報告
平成24年2月16日(木)、富山大学附属図書館(中央図書館)2階のプレゼンテーションゾーンにおいて、研修会「蔵書こそは図書館の切り札」が開催されました。
当日は、東京大学経済学部資料室の専任講師であり、富山大学の卒業生でもある小島浩之氏をお招きし、1時間以上にわたる講演の後、参加者28名を交えた質疑応答・ディスカッションが行われました。
小島氏の講演は、蔵書保存の重要性とその活用というテーマをベースに、中国における歴史記録の問題から図書館サービスの具体的あり方に至るまで、多岐にわたって展開されました。その全てを記すことはできませんが、特に印象的ないくつかのトピックを挙げてみます。
当日は、東京大学経済学部資料室の専任講師であり、富山大学の卒業生でもある小島浩之氏をお招きし、1時間以上にわたる講演の後、参加者28名を交えた質疑応答・ディスカッションが行われました。
- 前近代においては情報の記録に国家意思が強く介在しており、そこからはずれた記録は残らなかった。⇒ 残そうとする人間の意思がなければ書物は残らない。
- 現在では誰でもが情報を発信できるが、記録を保存して伝えられるのは古今東西、図書館、文書館、博物館に限られる。特に重要なのは図書館であり、現在の図書館は、保存すべき情報を取捨選択できる権限まで有している。
- 人類のリスクマネジメントのために資料を後世に残すことが必要である。
- 蔵書(情報)の保存、充実、特色化、公開サービスといった間接サービスの充実こそ、真の利用者サービスにつながる。機関の歴史に根ざした蔵書や組織の特徴の把握と特色化が必要。
- 誠実な利用者サービス、ブラウジングや蔵書解題・解説(OPACが全てでない)、インターネットの効果的利用、中身のある利用者広報を!
- デジタルと紙は両方とも重要
- 専門性とは何か、専門家とは何か ⇒ 自分の専門分野以外にも理解を持つこと
講演後のディスカッションにおいても、デジタル保存の問題、キュレーションやアーカイブと図書館、目録記述のあり方、図書館員は論文を書くべき、など、様々な話題が展開され、研修会は時間を大幅に超過して終了しました。
また、今回の講演資料はこちら(http://hdl.handle.net/10110/6579)から閲覧することができます。どうぞご覧ください。
なお、富山大学附属図書館では、今回の研修会をきっかけに、図書館活性化を企図したイベントを継続的に開催していきたいと考えています。今後にご期待ください。また、今回の講演資料はこちら(http://hdl.handle.net/10110/6579)から閲覧することができます。どうぞご覧ください。