ヘルン文庫から発見された明治三陸沖地震の資料について

 昨年、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の研究者である中川智視氏(明治大学兼任講師)が、富山大学附属図書館の「ヘルン文庫」での調査の過程で、明治三陸地震に関する英文リーフレット"The Great Disaster in Japan, 15th June, 1896"(『日本での大災害 1896年6月15日』)を発見し、話題になりました。
 ハーンは明治三陸地震後の同年冬、防災民話として有名な『稲むらの火』の原作となる作品"A Living God"(『生き神』)を発表しています。ハーンは1894年には評論『地震と国民性』を執筆するなど、日本の地震災害に関する複数の文章を残していることから、この資料はハーンの防災研究者としての側面に新たな光を当てることとなりました。
 中川氏は、この資料の翻訳を行ってきましたが、その一部が富山八雲会発行の機関誌『へるん倶楽部』第10号(2012.6)に掲載されています。
 このたび、中川氏の許諾が得られたことから、『へるん倶楽部』掲載の同翻訳の本文をデジタル化し、富山大学学術情報リポジトリToRepoに登載し、公開いたしました。
 記事は、当時横浜で発行され、ハーンをはじめ日本に関心のある外国人にとって大切な情報源の一つだった『ジャパン・ガゼット』紙の記者が、明治三陸地震の津波被災地を巡り、生存者の証言や、外国人記者から見た被災の状況などをまとめたものです。東日本大震災を経験した現代の日本にも貴重な情報と示唆をもたらす内容となっております。この機会にご一読いただければ幸いです。
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